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それぞれの想い |
こんばんは
またまた寒波到来ですが、みなさんお体は大丈夫でしょうか?
さて、雛祭りの今日、みなさんのお宅でも雛人形が飾られ、甘酒を飲んでお祝いされている
ことでしょう。
そこで、今回は、雛人形さん方のお話に耳を傾けていきたいと思います。
どうか、最後までおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
では、はじまり、はじまり
灯りをつけましょ雪洞(ぼんぼり)に~
如佐(もとすけ):「おや、ロウソクがきれておりまする。 帝(みかど)、どういたしましょうか?」
帝: 「すぐに電気屋に行って、えるいーでぇを買ってくるのじゃ。」
如佐:「は、えるいーでぇとは、なんでございましょう?」
帝: 「わらわもよくわからぬが、なんでも明るくて長持ちするロウソクらしい。
すぐに、牛車で行ってまいれ。」
如佐: 「仰せ仕りました。」
如佐:「それにしましても、当家の牛車は立派でございますね。他にはひけをとりませぬ。」
帝: 「当たり前じゃ。 五人囃子の笛太鼓を下取りに出して買い求めた、国産黒毛和牛だからのう。 昨今では、外国の牛車が増えているそうだが、やはり牛は国産に限る。」
如佐:「では、行ってまいりまする。」
帝:「右近の橘(たちばな)もいいい葉付きじゃ。 わらわが昨年、米のとぎ汁をやっただけあるのう。」
典孝(のりたか): 「帝、橘もよいのですが、わらわは、あの餅を火鉢で焼いて食べとうございます。」
帝: 「どれ、あの餅か。 確かにうまそうじゃな。 よいぞ、明日、みなで分けて食べよ。」
典孝: 「わーい、明日になるのが待ち遠しゅうございます。」
皇后:「これ、崇行(たかゆき)。 御髪が立っておりまするぞ。 鏡を見て整えよ。」
崇行: 「本当だ、昨日、絵巻物を見ながら、うたたねをしたときに出来たものにございます。 しかれど、わらわのはまだかわいらしゅうございます。 守端(すず)様の御髪はもっと乱れておりまする。」
皇后:「本当じゃ、崇行の言う通りじゃ。」
「これ、守端。 おぬしの髪の乱れはなにごとぞ。」
守端:「皇后様、申し訳ございませぬ。 実は、一昨日、合こん に参りまして、二日酔いで寝込んで おりました。」
皇后:「合こん とは、なんぞや。 歌会のことかえ?」
守端:「はい、歌はよみませぬが、男女が揃っての酒宴のことでございます。 とても楽しゅうございますよ。 皇后様も是非、おいでませ。」
皇后:「ほう、それは面白しろそうじゃな。 次回は、わらわも御伴しよう。 話の冴えない帝といるより、よっぽどよいではないか。」
礼人(あやと): 「なに、そんな楽しい宴がありもうしたのか。 是非とも、美しゅう女子と酒を酌み
交わしたい。 しかし、まじめ一筋で通っておるわしには、行きたいと申せぬのが歯がゆいところじゃ。」
芳平(よしひら): 「ところで、帝。 折り入ってお話しがございます。」
帝 : 「なんじゃ、申してみよ。」
芳平: 「はい、じつは、長年お仕えさせて頂いておる爺も齢65になりました。
最近は膝ばかりではなく手も70肩で痛とうて、そろそろ、市丁(しちょう)を引退して
隠居生活を送りとうございます。」
帝: 「そうであったか。 爺がいなくなるのは寂しいが、仕方がない。 引退を認めよう。 うちは自営であるから、国民年金を受け取れるよう申請もするので、安心して隠居生活 を送るがよい。 来年は爺の代わりは しるばー人材派遣からきてもらうとするか。」
芳平 : 「ありがたき幸せにございます。 これで老後は安泰じゃ。 毎日、さいころと花札をして楽しく暮らしまする。」
公比呂(きみひろ):「わたくしも、帝にお願いがございます。」
帝: 「なんじゃ、おぬしもか。 遠慮なく申せ。」
公比呂 :「帝のお沓(くつ)を毎日持たせていただいておりますが、最近臭いがひどうございます。 あまりに臭うて、気絶しそうになりまする。 なにとぞ、足袋を履きかえてくださいませ。」
帝 : 「ならぬ。 わらわは足袋は一足しかもっておらん。 皆の着物も同じじゃ。一枚しかないで あろう。 仕方あるまい。これからは、ふぁぶりーずを使うようにしよう。」
公比呂 :「ありがたきご配慮うれしゅうございます。 これで来年からは、笑顔で沓台をもてまする。」
皇后: 「貴方、わたくしも顔にしみが増えているゆえ、防虫剤も多く使ってくださいませ。」
帝 : 「御前のは、加齢によるしみであろうから、使っても無駄じゃ。」
皇后: 「まあ、よくもそのようなことをずけずけと申されますね。 貴方の冴えない顔などもう、みとうもありません。明日からは箱内別居いたしましょう。」
旭香(てるか): 「確かに、帝のお顔色はすぐれませぬ。 どこかお悪いのですか。」
帝: 「すまぬ。 実は、みなに内緒でつまみ食いをして腹が痛くなったのじゃ。」
皇后: 「まあ、お椀が空っぽだわ。貴方ったら、身分に似合わず、卑しいこと。」
帝 : 「一年に一度しか食事をとれぬのだから、腹が減るのは当たり前であろう!」
皇后: 「わたくしは、そこまで、食い意地が張ってはおりませぬ!」
守大(もりひろ):「はっはっは、喧嘩するほど仲が良いとはこのことですな。
せっかくのめでたい日ですので、喧嘩はそれぐらいにしてくだされ。」
多美(たみ): 「帝、皇后様、あちらをご覧ください。 春がもう来ておりまする。」
帝:「まことに美しい。左近の桜が今年も見事に咲いておるな。」
皇后:「ほんに見事でございまする。 わたくしは毎年これを見るのを楽しみにしておりまする。 気を取り直して、最後に、みなで歌いましょう。」
皆合唱 : 春の弥生のこの良き日~なによりうれしいひなまつり~
おしまい
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